カーボン蓄積
非常用発電機のトラブルでもっとも懸念しないといけないのがカーボン蓄積です。
ディーゼルエンジンの特性上、燃料(軽油)が綺麗に燃えないと、それがカーボンのススになってエンジン内部や排気口周辺に蓄積されていってしまいます。カーボン蓄積がひどくなると、始動不良やエンジン不調の原因になります。
排ガス浄化の仕組み
ディーゼルエンジンは自家発電機以外にもトラックを中心に車で広く採用されています。
街中でディーゼルエンジンのトラックがたくさん走っているのだから問題ないのではないかと思われますが、全てのディーゼルエンジンにおいてカーボン蓄積は構造上避けられない面があります。
一昔前のディーゼルエンジンのトラックは、排ガス浄化(カーボン蓄積の除去)ができなかったので、新車で購入しても6~7年で排ガス規制で車検を通せず廃車(海外輸出含む)を余儀なくされていました。
最近のディーゼルエンジンの車はDPFという排ガス浄化装置を搭載して、強制的にエンジン燃焼室の内部の温度を上げて、カーボン蓄積を燃やしてクリーンナップする機能が付いています。
トラックに限らず、クリーンディーゼルの乗用車も最新モデルではあればDPFを搭載しています。
(メーカーによってDPDなど名称が違う場合があります)
非常用発電機のディーゼルエンジンは、原則DPFといった排ガス浄化装置は搭載されていません。
常時稼働するエンジンではないという事と、通常の負荷運転でカーボン蓄積を燃やせるだけの温度にあげられるため、DPFがなくても正しいメンテナンスをしておけばリスクを最小限に減らせます。
30%を超える負荷運転が望ましい
消防法で定められた負荷運転は30%以上です。
負荷運転は専用の機材を持ち込んで行うため、業者によっては高い負荷をかけた試験運転ができない事を30%に設定された背景です。
30%の負荷運転を30分以上行えば、カーボン蓄積を燃やす事ができると言われています。
これを行うだけで高いクリーンナップ効果を期待できますが、さらに高い負荷をかければより効果が高まります。
また、エンジンは高回転域を使わないというのは、調子の悪化にも繋がります。
非常用発電機は災害時にスプリンクラーを起動させると、一気にフルパワーに近い電力供給を求められます。
車で例えると暖気運転をせずにいきなりアクセル全開にさせるような状態です。
こうした過酷な状況で耐えられるようにするにも、100%や80%などの負荷試験ができる業者を利用して1年に1回は非常用発電機をしっかり動かしてクリーンナップとコンディション管理をすることが大切です。