東日本大震災の非常用発電機不具合は、始動不良と異常停止の2種類のトラブルがある

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負荷試験が義務になった経緯「震災時の不始動」

東日本大震災では非常用発電機の23%が不始動および異常停止で稼働しなかった実態がありますが、原因の多くは負荷運転をしていない事による点検不良です。

大震災における不始動の実態

 

震災による非常用発電機の不始動

非常用発電機の負荷試験が義務付けられた背景には、東日本大震災で停電によって電力供給が停止された時に不具合で稼働しない非常用発電機が非常に多かったからです。

 

一般財団法人非常用発電機保安協会が発表した資料によると、電力供給が必要だった非常用発電機の23%が稼働していないデータがあります
また一部のメディアでは、3割が不始動のトラブルを起こしていたと報じられていました。

 

災害時の火災の初期消火や安全な避難など重要な役割を担っているにも関わらず、設置された施設で電力供給がされないのは大きな問題です。

 

なぜ、東日本大震災時には、これほど多くの不始動によるトラブルが発生したのでしょうか?

 

 

非常用発電機の不具合の原因

 

東日本大震災の時の非常用発電機の不具合は、始動不良と異常停止の2種類のトラブルがありました
震度6強地域におけるトラブルの原因の割合は次のようになっています。

 

不始動:整備不良41%
異常停止:整備不良27%

 

なお、その他のトラブルの原因では、操作ミス、設備故障、断水等があります。
また、東日本大震災では、津波による被害が大きく、普及に時間がかかった事から、燃料切れや津波被害による故障もありました。

 

上記のデータでは、燃料切れ、津波被害の2つの理由は除外されています。

 

 

負荷運転をしていない事が整備不良の原因

東日本大震災前は負荷試験が義務付けられていなかったので、
定期点検で非常用発電機の電源を入れる程度の点検整備しかしない事が一般的でした

 

電源を入れて空ぶかしの無負荷運転を行っても、過去の運転時に発生したカーボンなどのススが排気口付近に付着したままの状態になっています。非常用発電機の稼働で発生したススは負荷運転をする事で燃焼して綺麗になります

 

空ぶかしの無負荷運転は、ススを燃焼できず新たなススを発生させるだけになり、始動確認ができても発電機にとっては悪影響になってしまいます。30%の負荷運転を30分以上行う事で、付着しているススなどのカーボンを燃焼して、いつでも稼働できる状態を維持することができます。

また、非常用発電機の主要な電力供給先のスプリンクラーは、大きな電力を消費します。
スプリンクラー稼働のための必要電力は非常用発電機の30%以上の出力になることが多いです。
発電機は通常、始動後に暖気をしながら少しずつ出力を上げていく使い方が望ましいです。

 

車のエンジンにたとえると分かりやすく、長期間動かしていなかった車をエンジンかけた直後にアイドリングさせずに走り出すと吹け上がりが悪く、エンストするケースも増えてきます。

 

非常用発電機は、稼働と同時に非常用電源やスプリンクラーの稼働など、いきなり30%以上の負荷がかかります。つまり、東日本大震災のトラブルは定期的に負荷運転をして調子を維持していない事が原因で、始動はするけど負荷に耐えられずに異常停止してしまう事例も多数ありました。